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おれが19ぐらいのときに、PC98の『ブルトン・レイ』のエディタソフトで、 
 『氷の女王』ってタイトルのロマンチックな物語を作ったことがある。   
 内容はこう。 
 某国の北には『嘆きの壁』と呼ばれる岩壁がそそり立ち、『壁』の向こうの『氷の国カドリア』へは何人たりとも入ることが許されない。 
 (どんな事情があって壁を設け、氷の国へは行き来できないのか忘れたが、モデルは言うまでもなく『ベルリンの壁』)   
 氷の国には麗しき女王がいて、政治も国民に優しく、誰もが平和に暮している。言ってみれば理想郷。 
 かたや壁のこちら側の国の情勢は乱れ、悪政が人々を苦しめ、皆の心も荒んでいた…… 
 だから人は、おのずと氷の国へ行ってみたいと憧れる。 
 『壁』を越えようとし、見つかればその場で処刑される危険をわかっていながらも。   
 主人公は流れ者。某街で情報収集しているうちに、住人8人がレジスタンス活動をしていることを掴む。 
 (この8人には、ちゃんとした『壁』を越えるための動機を設定した) 
 脱獄みたいに、ひそかに『壁』を乗り越える計画を立てているのだ。 
 主人公はそれを諌めるが、彼らは聞く耳をもたず、ついに実行に移してしまう。彼らを追う主人公。   
 彼らが必死になって『壁』を越えようとするも、1人、また1人と『壁』の警備兵に惨殺される。 
 どうにか『壁』を越え、『氷の国』にたどり着いたとしても、犯罪者には手ひどい罰が待っていた。 
 氷の国カドリアは理想郷と謳っていながら、現実はかくも厳しい……というのを描いた。   
 エンディングは女王との謁見の間で、主人公がレジスタンスたちの心の代弁者となり、 
 詰め寄るシーンがあった。 
 所詮は容量の都合で、ショートストーリーしか作れず、自由度が低く、知り切れトンボ感のある終わり方をしたけど、 
 我ながらセンチメンタルな秀作が出来たと自負している。 
 しかしそのセーブデータも、今はない。
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