僕たちの罪は、神と融合(ひとつ)になることで癒される。
端的に言えばキモいギミック満載のA・RPG。
簡略化されたダンジョン・マスターと言えば語弊があるか?
けれどもシステム的に未完の感が否めない。いくらダンジョン自動生成機能があるとはいえ、
単調さは拭えないし、剣での戦闘も戦略に欠け、あとは癖のあるアイテム群でいかに立ち回るか、
プレイヤーのセンスが問われる。
プレイ中は嬉しい誤算と思わぬハプニング(大事な武器やアイテムをなんらかの形で消失)が同居し、
そのトラブルをいかにアドリブを利かせて乗り切っていくかが実はハマる要因だったりする。
システムはこの際おいといて、特筆すべきは世界観。
『外界では紅い空が覆い、記憶を失って罪の意識だけを抱えた主人公は、
上級天使に導かれるまま神経塔と呼ばれる歪みの根源に歩んでいく……』
いつか見た僕の悪夢のようで魅力的ではないか。シュールで病的でダークなノリは人を選ぶが、
相性さえ合えば長らくその世界の住人になれるだろう。
僕は収集癖に乏しいのでアイテムコンプリートにこだわらず、ダラダラと神経塔探索を好んだだけだが。
特筆すべきは米田匡治氏が手がけた楽曲だ。どこかで聴いたことがあるような曲を目指したとあるが、
まさしく僕にはデジャヴュ誘う懐かしさと重苦しい陰鬱と、時に神々しさすら感じさせる曲は瞑想するにもってこい。
あるいは不協和音めいたインダストリア・ノイズが耳に心地よいと思うのは、きっと僕だけではあるまい。
ちなみにこの世界観を居心地よいと感ずる人ならば、デヴィッド・リンチ監督の処女作『イレイザー・ヘッド』も受け入れられるはずだ。
恐らく制作者の米光一成氏も影響を受けたであろう(推測)悪夢めいたカルト映画もまた、
独特の空気感をもっており、観れば拒否反応示す人と、まったく平気でむしろ絶賛する人とに意見が別れるが、
バロック好きなら共感を憶えるにちがいない。
僕らの歪んだ妄想はいつまでも続く……。
https://www.youtube.com/watch?v=pJfPIxnsMDs
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